見た目も中身も冴えないおっさんは美少女になってもチヤホヤされない
先日、テレビをつけたら「51年間、彼女どころか女の人とまともに喋ったことがないけれども、デートをしてみたい」という男性が出ていた
「最早その願望の達成は非現実的な領域に入りかけているけれども、なんとかしてそれを叶えたい」という願いは、多かれ少なかれ皆持っているもの
番組の手を借りる形ではあるけれども、願いの成就のために一歩を踏み出しただけ、立派で素晴らしいことだ
なんとかして叶ったらいいよな…
そんな気持ちで番組を見続けることにした
本人が登場する
あーなるほど、51歳だと言われたら納得するビジュアルだ
酷く清潔感に欠けるわけじゃないからそもそも人間として見られるためのスタートラインにすら立てない感じではないけれども、年齢に見合っただけの老いを感じる顔と体型をしている
でも見た感じ、「女は20代前半じゃないとw」とか言って女性を選別するような素振りさえ見せていなければ、今までだってチャンスはあった気がするな…?
「職業は?」と番組スタッフが尋ねる
「データ入力をしていまして…へへ…」と彼は笑いながら答える
あーなるほど、51年間女性から選ばれ続けなかった理由が推測できるぞ
51歳でこのビジュアルを維持しているのだから、きっと若い時も顔も体型も酷く悪かったわけじゃないだろう
積極的に出会いを求めて動いていたら、きっと何人かの女性からは興味を持ってもらえていたはずだ
ということは、残酷なことに「中身で書類落ちした」ということなのである
若い時はともかく、51歳にもなれば最早女性は彼に若い男性に求めるような顔のカッコよさや締まった体型は求めない
それらを求めない分、スマートにお会計ができるとか、51年生きた分の知識や経験だとか、優しさなどを求めていくようになるのである
残念ながら、この男性はそういう需要を満たす要素は持っていないであろう…
多分だが、この男性は一発逆転を夢見てバーチャル空間に転生し、バ美肉で美少女ボイスを手に入れ、絵師の力で美少女のビジュアルを手に入れて活動しても、選ばれる存在にはなれないと思う
バーチャル空間では基本的に美少女しかおらず、可愛いことが前提(スタートライン)なので、差別化を図るためにはどうしたって中身が必要だからだ
バーチャル空間に逃げたって、救いは無いのである
(美少女じゃなくてイケメンで転生しても結果は一緒だと思う)
もしこの男の年齢はそのままに性別を女に変えたなら、性的な意味で男を求めなくなるためにまだ救いがあったのかもしれない
個人差はあるが、女性は50歳前後で女性ホルモンが激減して閉経を迎えるため、生殖という意味で生物学的に異性を求める必要がなくなるからだ
そもそも女性は40歳前後に差し掛かった時点で妊娠の可能性が限りなくゼロに近付いていくため、本人の意思や努力に関係なく異性を諦めざるを得ないのである
一方、男性は加齢で男性ホルモンが減少するとはいえ、女性と比較すれば遥かに緩やかに減少するため、歳を取っても異性への渇望が消えづらい
精子のクオリティは加齢によってどんどん落ちていくが、男性には閉経のような明確な生殖の終了が訪れない
その結果、諦めるタイミングが掴めず、50歳になっても60歳になっても女性を求めて彷徨う亡霊が完成してしまうのである
おっさんは本当に、どこにも救いがない
悲しさの中、結末を見届けることなくチャンネルを変えてしまったのである